大学からのお知らせ TOPICS
お知らせ
- お知らせ2020.04.03
- 2020年度(令和2年度) 西九州大学長 入学祝辞
西九州大学5学部7学科に入学された514名の皆さん、また、大学院生活支援科学研究科5専攻に入学された13名の皆さん、ご入学おめでとうございます。西九州大学の教職員を代表して、心よりお祝い申し上げます。
また、愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。世界的なコロナウィルス感染防護対策の最中にあって、残念ながら中止せざるをえなかった入学式において直接お伝えしたかった祝辞でしたが、やむなく本紙面をもちまして述べさせて頂きます。
新しく始まる大学あるいは大学院の生活に対しては期待や希望もありつつ、同時にいくばくかの不安も感じていると思いますが、皆さんが有意義な学生生活を送ることができるように教職員一同でお力添えしたいと思っています。
本年は、西暦では2020年ですが和暦では令和2年度、令和になって初めての新年度を迎え、皆さんは令和の春に入学する最初の大学生、大学院生となります。また、新たな産業革命が始まったと言われている現在、科学と学問の分野も新たな知見に溢れ、正に世界は大きな変革期を迎えている最中にあり、時代が大きく変る節目の年に皆さんは入学されたと考えられます。困難も多くあるこれからの時代ですが、一方で、可能性にも満ちた変革期の時代に大学生活を送ることができるのは幸運なことのように思います。
皆さんが入学された西九州大学は、74年前、戦後間もない昭和21年に校祖永原マツヨにより佐賀栄養専門学院が創立されたことから始まりました。昭和38年には佐賀市内に佐賀短期大学が、昭和43年には神埼市内に佐賀家政大学が設置されました。その後、昭和49年に九州で初めての社会福祉学科が設置されたのを機に西九州大学と改名。平成となった後は、高等教育に対する社会の要請に応えるため、大学院、リハビリテーション学部、子ども学部、看護学部が増設され、現在は、博士課程を擁する大学院も備えた5学部7学科から構成される大学になりました。
戦後間もない時代、食べるものにも事欠いて人々の栄養状態が劣悪な状況の中で、校祖永原マツヨは限られた食材を創意工夫により何とか栄養バランスの取れた美味しい食事にして提供する知識と技術をもった職業人を佐賀の地で育てたいとの思いから佐賀栄養専門学院を設立しました。当時の学院の教育内容で特徴的だったのは、「栄養・食品・調理」の科目群の中に「社会福祉」の科目が設けられていたことです。社会福祉とは、特定のだれかだけではなく、「みんなが幸せになれるよう」に取り組む社会における活動や仕組みのことですが、敬虔(けいけん)なクリスチャンでもあった永原マツヨは、ヒトは食べることが満たされて健康な身体となっただけで幸せになれるのではなく、自分や誰かが弱い立場になろうとも皆で助けあう社会であればこそ心の平穏が保たれて幸せを感じることができる存在なのだとの考えを持っていました。校祖永原マツヨが目指した高等教育は現在の理事長福元裕二に至るまで脈々と受け継がれ、保健、医療、福祉、保育に注力した高等教育を推進する大学として今の西九州大学の基本理念ともなっています。
創立から74年を経た現在、日本政府が取り組みを進めているSDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の考えは西九州大学の基本理念と多くの部分で一致しています。SDGs(エス・ディー・ジーズ)は2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標です。地球上の誰一人として取り残すことのない持続可能な世界を実現するために、貧困や飢餓の解消から始まり経済成長や気候変動対策あるいは環境保全など地球全体で取り組むべき17の目標(ゴール)が広く掲げられています。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国においても取り組む必要があるユニバーサル(普遍的)なものであり、経済・社会・環境の三つの側面を不可分のものとして調和させる統合的な取組として策定されています。日本政府はまた、「Society5.0を通じたSDGs」の達成を掲げ、目指すべき未来社会の姿であるSociety 5.0(超スマート社会)では、すべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有されて新たな価値が生み出されると予想しています。そして、新たな知識・情報・価値を生み出し、それらの変化に対応していくことが重要である社会では、専門知識だけでなく、多様な分野を俯瞰(ふかん)する力を持った人材が求められ、自ら課題を発見し、解決していく能力が必要であるとされています。西九州大学は、正に、「ヒトが幸せになるために持続可能な開発目標を推進する担い手となる人材育成」を実施してきた大学であったわけで、皆さんも、卒業後には、各学科で身に着けた専門知識を生かした有資格者として各分野で活躍して下さるものと期待しています。また、これから始まる新たな社会で生きていくためには、与えられる専門知識の学びだけでなく、学ぶべき何か自体を自ら見出して学ぶ姿勢を在学中に身につけ、生涯に渡って自らを育てることができるヒトになって欲しいと願っています。
佐賀県は長い歴史と文化に育まれ、豊かな自然の中で秀でた工芸品や高品質な農林水産品を世に送り出してきた地域です。今も、国際社会全体の目標である「SDGs」を意識しながら、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」に取り組んでいる県です。自然と良き人々に囲まれた佐賀において、西九州大学の諸先生から大いに学び、友人と語り合い、自分の行動の核となる哲学を自ら育て、そして、世界の人々がともに目指す「持続可能な開発目標」を推進する有為の人材となって本学を巣立っていくことを祈念して、お祝いの言葉といたします。
また、愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、心よりお祝い申し上げます。世界的なコロナウィルス感染防護対策の最中にあって、残念ながら中止せざるをえなかった入学式において直接お伝えしたかった祝辞でしたが、やむなく本紙面をもちまして述べさせて頂きます。
新しく始まる大学あるいは大学院の生活に対しては期待や希望もありつつ、同時にいくばくかの不安も感じていると思いますが、皆さんが有意義な学生生活を送ることができるように教職員一同でお力添えしたいと思っています。
本年は、西暦では2020年ですが和暦では令和2年度、令和になって初めての新年度を迎え、皆さんは令和の春に入学する最初の大学生、大学院生となります。また、新たな産業革命が始まったと言われている現在、科学と学問の分野も新たな知見に溢れ、正に世界は大きな変革期を迎えている最中にあり、時代が大きく変る節目の年に皆さんは入学されたと考えられます。困難も多くあるこれからの時代ですが、一方で、可能性にも満ちた変革期の時代に大学生活を送ることができるのは幸運なことのように思います。
皆さんが入学された西九州大学は、74年前、戦後間もない昭和21年に校祖永原マツヨにより佐賀栄養専門学院が創立されたことから始まりました。昭和38年には佐賀市内に佐賀短期大学が、昭和43年には神埼市内に佐賀家政大学が設置されました。その後、昭和49年に九州で初めての社会福祉学科が設置されたのを機に西九州大学と改名。平成となった後は、高等教育に対する社会の要請に応えるため、大学院、リハビリテーション学部、子ども学部、看護学部が増設され、現在は、博士課程を擁する大学院も備えた5学部7学科から構成される大学になりました。
戦後間もない時代、食べるものにも事欠いて人々の栄養状態が劣悪な状況の中で、校祖永原マツヨは限られた食材を創意工夫により何とか栄養バランスの取れた美味しい食事にして提供する知識と技術をもった職業人を佐賀の地で育てたいとの思いから佐賀栄養専門学院を設立しました。当時の学院の教育内容で特徴的だったのは、「栄養・食品・調理」の科目群の中に「社会福祉」の科目が設けられていたことです。社会福祉とは、特定のだれかだけではなく、「みんなが幸せになれるよう」に取り組む社会における活動や仕組みのことですが、敬虔(けいけん)なクリスチャンでもあった永原マツヨは、ヒトは食べることが満たされて健康な身体となっただけで幸せになれるのではなく、自分や誰かが弱い立場になろうとも皆で助けあう社会であればこそ心の平穏が保たれて幸せを感じることができる存在なのだとの考えを持っていました。校祖永原マツヨが目指した高等教育は現在の理事長福元裕二に至るまで脈々と受け継がれ、保健、医療、福祉、保育に注力した高等教育を推進する大学として今の西九州大学の基本理念ともなっています。
創立から74年を経た現在、日本政府が取り組みを進めているSDGs(Sustainable Development Goals: 持続可能な開発目標)の考えは西九州大学の基本理念と多くの部分で一致しています。SDGs(エス・ディー・ジーズ)は2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標です。地球上の誰一人として取り残すことのない持続可能な世界を実現するために、貧困や飢餓の解消から始まり経済成長や気候変動対策あるいは環境保全など地球全体で取り組むべき17の目標(ゴール)が広く掲げられています。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国においても取り組む必要があるユニバーサル(普遍的)なものであり、経済・社会・環境の三つの側面を不可分のものとして調和させる統合的な取組として策定されています。日本政府はまた、「Society5.0を通じたSDGs」の達成を掲げ、目指すべき未来社会の姿であるSociety 5.0(超スマート社会)では、すべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有されて新たな価値が生み出されると予想しています。そして、新たな知識・情報・価値を生み出し、それらの変化に対応していくことが重要である社会では、専門知識だけでなく、多様な分野を俯瞰(ふかん)する力を持った人材が求められ、自ら課題を発見し、解決していく能力が必要であるとされています。西九州大学は、正に、「ヒトが幸せになるために持続可能な開発目標を推進する担い手となる人材育成」を実施してきた大学であったわけで、皆さんも、卒業後には、各学科で身に着けた専門知識を生かした有資格者として各分野で活躍して下さるものと期待しています。また、これから始まる新たな社会で生きていくためには、与えられる専門知識の学びだけでなく、学ぶべき何か自体を自ら見出して学ぶ姿勢を在学中に身につけ、生涯に渡って自らを育てることができるヒトになって欲しいと願っています。
佐賀県は長い歴史と文化に育まれ、豊かな自然の中で秀でた工芸品や高品質な農林水産品を世に送り出してきた地域です。今も、国際社会全体の目標である「SDGs」を意識しながら、「人を大切に、世界に誇れる佐賀づくり」に取り組んでいる県です。自然と良き人々に囲まれた佐賀において、西九州大学の諸先生から大いに学び、友人と語り合い、自分の行動の核となる哲学を自ら育て、そして、世界の人々がともに目指す「持続可能な開発目標」を推進する有為の人材となって本学を巣立っていくことを祈念して、お祝いの言葉といたします。
2020年(令和2年)4月3日
西九州大学長 久木野 憲司
西九州大学長 久木野 憲司