1月31日、西九州大学生活支援科学教育研究「西九州大学におけるグローバル視点を持つ教育プログラムの開発」の一環として、「水俣とイドリヤ〜日本と中欧における近代化と水銀公害〜」という国際公開シンポジウムを開催しました。イドリヤは中欧のスロヴェニア共和国の旧水銀鉱山で、水俣病事件と共通の水銀による環境汚染が起こった地域です。スペインノのアルマデンと共に2012年に世界遺産となりました。
今回のシンポジウムでは、作業療法学、歴史学、考古学、宗教学、自然科学、水俣病事件当事者といった、学際的な視点から、水俣とイドリヤにおける水銀の歴史や環境汚染と健康障害、および人権問題について発表されました。専門領域を超えた発表から、水銀による環境汚染の危険が現在も存在していること、人権侵害によって受けた心の傷は今も家族に引き継がれていることなど、水銀問題は、終わっていないことが明らかとなり、さらなる研究が必要であることが確認されました。同時に、グローバルな視点から環境、健康、人権の教育を推進するための「負の遺産の活用」が課題として見いだされました。