海外協定校Partner Universities Abroad

Home > 海外協定校

2024.12.24

令和6年度台湾協定校等出張報告


 
【派遣者】(1)西九州大学デジタル社会共創学環 准教授 木村 延明              
            (2)西九州大学学生支援課 課長 相川 賢士         
            (3)西九州大学短期大学部ダイバーシティセンター 室長補佐 中島 健策     
【期 間】<木村>   12/16(月)~12/18(水)              
           <相川・中島>12/16(月)~12/19(木)  
【派遣先】台湾協定校3校及び公益財団法人日本台湾交流協会
【行 程】12/16(月) 台湾へ移動
     12/17(火) 国立台北大学訪問 /元培医事科技大学訪問
     12/18(水) 国立宜蘭大学訪問 / 公益財団法人日本台湾交流協会
           / 帰国した留学生との同窓会
     12/19(木) 帰国
【目 的】(1)台湾の協定校訪問
 台湾の3つの協定校(国立台北大学、元培医事科技大学、国立宜蘭大学)を訪問する。特に、国立台北大学では、本学の学環や令和9年度新設する健康データ科学部(仮称)にフォーカスした今後の連携について協議する。
     (2)留学生募集
 台湾の協定校で学生向け説明会等を開催し、本学への留学を推進する。   
     (3)帰国留学生フォローアップ
 過去本学への留学に参加した台湾出身留学生たちとの同窓会開催し、ネットワークを再構築する。
【報 告】
1.国立台北大学
 国立台北大学(NTPU)は1949年に設立され、法学、商学、公共政策、社会科学の分野で強みを持つ総合大学である。当大学は三峡と台北にキャンパスを構え、約1万人の学生と500人以上の教員が在籍している。教育の質向上に力を入れ、国内外で高い評価を得ており、国際的な学術交流や研究活動を推進し、卒業生は政府機関や企業で活躍中である。日本の大学とは北海道大学、東北大学、一橋大学、大阪大学、神戸大学等と提携している。本学とは2024年8月に新たに協定を締結したばかりであり、今回が初めての正式表敬訪問となった。会議には国際事務処センター長のDr. Thijs Velema副教授、Smart Healthcare Management(修士課程)のDr. Muhammad Adeel助教授、Dr. Yankuba B. Manga助教授をはじめ国際事務処のスタッフ数名が出席し、双方の学校紹介等が行われた。当日は先生方の講義等の合間を縫ってのセッションだったこともあり、時間が非常に限られていたため、踏み込んだ話し合いには至らなかったが、直接お会いして知り合うことができたことが大きな収穫となった。この繋がりをきっかけに、今後の大学間の交流や学環や新設予定学部に向けた協議を推進していきたい。また、会議後には日本留学に興味がある当大学の学生向けに、佐賀の魅力と本学の留学説明会を英語と中国語で実施したところ、約40名の学生が説明会に申し込んでくれた。この中から少しでも多くの学生が本学に興味を持ち、近い将来留学に来てくれることを期待したい。なお、今回の説明会の様子は当大学のホームページにも掲載されている。
 <URL>探索佐賀魅力 西九州大學交換留學說明會


2.元培医事科技大学
 元培医事科技大学は、台湾の医療技術教育を発展させるため、創設者蔡炳坤によって1944年に設立された。最初は「私立元培医事技術専科学校」として放射技術、医務管理、医事検査の3つの学科を設置し、その後、改組や改名が続き、2014年に現在の「元培医事科技大学」となった。教育理念は「健康福祉、サービス人群」に基づき、医療技術教育の向上と国際化を目指している。現在、この大学には8つの修士課程と16の学科があり、医療・看護、健康、福祉産業などの3つの学部に分かれており、約4,000人の学生が在籍している。日本側とは国際医療福祉大学、札幌学院大学、佐賀大学等と協定があり、本学とは2012年11月より協定を結んでいる。現在までに本学からの派遣として短期留学計7名、受け入れとして短期留学13名、交換留学5名の学生間交流の実績がある。訪問当日は、国際交流・協力センター長の楊慈定先生を中心に対応していただき、当大学の留学生の概要などについて伺うことができた。台湾国内の少子化による台湾人学生数の減少を受け、留学生の受け入れに力を入れている。現在、約500人の留学生が在籍しており、これは昨年比で文字通り「爆増した」とのことだった。内、大部分はベトナム出身の留学生で、その他はフィリピン等の東南アジアからの留学生とのことだが、多くは主要言語となる中国語が初級者レベルで来日するため、コミュニケーションでは苦労しているとのこと。特に一番の問題は、激増する学生数に対して担当職員の数が変わっていないため、病院の引率や寮でのトラブル等の対応に日々追われているとのことだった。今回、我々が訪問した際、学内で大きな別の会議が開催されており、出席者と時間が非常に限られた話し合いとなったが、今後、交換留学を中心に両校の国際交流促進に向けて、当大学の国際交流責任者と意見交換ができたことは良い機会となった。

 3.国立宜蘭大学
 1926年に台北州立宜蘭農林学校として創立され、2003年に国立大学となり、2026年に創立100周年を迎える。工学部、電子工学・コンピューターサイエンス学部、生物資源学部の3つの学部、15学科、18の修士課程のほか、語学センター、通信教育センター、運動教育センターもある。日本側とは関東学院大学、関西大学、金城学院大学、福岡工業大学などと協定があり、本学とは2012年11月より協定を結んでいる。現在までに本学からの派遣学生はいないが、受け入れとして短期留学32名、交換留学3名の学生間交流の実績がある。訪問当日は国際事務処国際長の劉淑如副教授と左嘉儀事務員にご出席いただき、双方の大学紹介と国際交流の状況について意見交換を行った。現在、5,500名規模の学生が在籍しているが、その大半は台湾人の学生であり、留学生数は僅か100名程度(このうち、日本人学生は関東学院大学と金城学院大学からの4名の交換留学生のみ)とのことであった。しかし、政府としても英語と中国語のバイリンガル教育を推進していることもあり、キャンパスの国際化を目指して、今後は日本、インド、ベトナム、マレーシアを中心に、留学生受け入れにもっと力を入れていきたいそうである。また、大学として「AI」「SDGs」「Mobility(物質的・非物質的なものを含む)」の3つを大きな方針として掲げており、その一環として今年12月下旬にAIセンターを新たに設立する予定である(当大学は台湾国内の20数カ所のAI連盟組織の1つ)。これに関して、本学が目指すデジタルの分野にも繋がることから、今後、本学の教員の見学参加も歓迎したいとのことであった。また、サービス・ラーニングも重視されており、本学の地域に開かれた大学としての取り組みにも非常に通じるところがあると感じた。具体的には、2017年に名古屋の社会福祉協議会と連携し、宜蘭の大学の学生を引率して現地のデイケアセンターで実施した文化交流や、今年は当大学の学生と福岡工業大学の学生が一緒に福岡の奈多海岸の清掃と、収集した漂着物を活用したアート制作等を実施した。また、本学への交換留学生の参加者が少ない理由としては、募集の案内文だけを送るだけでは不十分とのことであったので、当大学の別の協定校である福井県立大学での事例を参考に、次回、本学が来年2月頃に予定する令和7年度後期留学の学生募集時には、本学としては初の試みとなるオンライン形式で本学の学校紹介及び交換留学募集説明会を実施することが決定した(日時も令和7年2月19日14時~に確定)。その他、上述した日本でのサービス・ラーニングとして、来年9月初旬に本学と協力して実施に向けて検討をしていくことも話し合われた。結果的に、先の2校と比べて、当大学とは協議の時間を長く設けてもらえたこと、また責任者の劉国際長が日本語も非常に流暢だったため、日本語と中国語の両言語でコミュニケーションできたこともあり、より深い意見交換を展開することができた。

4.公益財団法人日本台湾交流協会
 公益財団法人日本台湾交流協会は、1972年の日中国交正常化に伴い、日本と台湾の間の実務レベルでの交流関係を維持するため、台湾在留邦人及び邦人旅行者の入域、滞在、子女教育、日台間の学術・文化交流などに対して各種の便宜を図ること、また、我が国と台湾との貿易、経済、技術交流などの諸関係を円滑に遂行することを目的として、外務省・通商産業省(当時)の認可を受け、財団法人として設立された(その後、2017年に公益財団法人日本台湾交流協会と名称変更)。当協会は東京本部と台北事務所、高雄事務所から成り立っており、我が国政府との緊密な連携の下、外交関係のない台湾との間の実務関係を処理するために、実質的な日本の在外公館に相当する各種業務を行っている。訪問当日は、台北事務所日本語専門家の藤田知彦様と同事務所広報文化部主任の門田健太郎様にお時間をいただき、台湾内での①日本語教育の実情と②台湾の若者の留学事情の2点を中心にお話を伺った。
 
※同協会のセキュリティ上のルールにより、スマホなどのデバイスの持ち込みは禁止されたため、会議の撮影画像はない。

 ➀台湾人の日本語教育の実情
 国際交流基金(JF)は、3年に1回全世界で実施している調査を行っており(前回は2021年度、現在は2024年度の調査中)、直近の2021年度の調査結果によると、台湾の学習者数は世界ランキングで8位に位置しており、その前の2018年度調査比で15.6%減少している。これは少子化の影響によるものだ。しかし、10万人あたりの学習者数を見てみると、台湾は韓国に続いて2位となっており、日本語学習に対する関心は依然として高いと言える。学習の目的については、学習者数を国別に比較するのではなく、東アジア全体での統計が取られているが、「将来の仕事・就職」を目的とする割合は、前回2018年の32.8%から2021年には17.8%に大きく減少している。その代わり、「日本そのものへの興味」が44.1%から60.2%に増加しており、これは東アジアの日本語学習者が日本や日本企業で働きたいという理由だけで学んでいるわけではないことを示している。その他、2018年の台湾の国家政策「Bilingual 2030 Plan」に基づき英語教育が強化されており、またASEAN諸国との人的交流や経済的な結びつきが強化されていることを受け、ベトナム語、インドネシア語、タイ語、ミャンマー語、カンボジア語、マレーシア語、フィリピン語の7か国語が「新住民言語」として学習が推奨されている。このような背景により、近年は韓国語の人気が高まり、結果として日本語学習への関心が低下している傾向がある。

 ②台湾人の留学事情

 日本への留学者は2019年に5,603人とピークを迎えたが、その後コロナ禍の影響で激減し、2021年には240人にまで落ち込んだ。しかし、その後、翌年からV字回復し、2022年には4,984人、2023年には5,068人に達し、コロナ前の水準まで回復している。なお、2023年の台湾からの留学者数は合計36,492人で、国別ではアメリカがトップの11,324人、2位が日本の5,068人、3位がカナダの4,930人、4位がオーストラリアの4,386人、5位がイギリスの3,545人となっている。
 

5.帰国した留学生との同窓会

 過去、本学に留学経験のある卒業生を対象に、フォローアップの一環として、本学主催で海外での同窓会を開催した。前回のタイに続き、今回が2回目となる。平日夜の開催となったが、2015年から2019年の間に本学に留学した台湾人卒業生12名が、各自の仕事が終わった後に集まってくれた。前回同様、参加者の中には初対面のメンバーもいたが、この集まりを通じて新たな交流が生まれたようだ。また、「本学での留学経験があったから、卒業後も日々挑戦する勇気をもらえました」といった大変うれしいメッセージをいただいた。今回築いたネットワークを維持し、今後、それぞれが活躍・活動する上での一助になることを願っている。

~終わりに~
 今回の台湾出張にあたり、国立台北大学との協定の橋渡しをしていただいた台湾の板橋ロータリークラブ2022年度-2023年度会長の詹智民・鍾如盈ご夫妻には、各表敬訪問先への送迎・同行等、多大なるご尽力をいただいた。今回の業務が予定通り順調に遂行できたのも、ひとえにお二人のご協力のおかげである。この場を借りて、心より感謝申し上げる。
詹董、夏美小姐,非常感謝您們在百忙之中給予的協助!希望在不久的將來,能夠在佐賀或台北再次與您們見面!









 

【参考】
国立台北大学公式HP(國立臺北大學)/元培医事科技大学公式HP 元培醫事科技大學 - 元培醫事科技大學/台湾留学センター台湾語学留学・大学進学は情報量NO1の台湾留学センター/公益財団法人日本台湾交流協会


 
Back
pagetop