2023.03.13
令和5年3月13日
令和4年度韓国建国大学グローカルキャンパス出張報告
西九州大学短期大学部
学生支援課中島
<派遣期間>令和5年3月1日~10日
<派 遣 者>学生支援課職員 中島健策
<派 遣 先>韓国協定校建国大学グローカルキャンパス
令和5年3月1日~10日の期間、本学協定校の1つである韓国建国大学グローカルキャンパス(以下、建国大学)を訪問した。建国大学は韓国のちょうど中央にある忠州市(人口約21万人)にある私立大学であり、2021年度の中央日報大学評価では国内で11位にランク付けされている。現在、アートデザイン、科学技術、バイオメディカル・ヘルスサイエンス等の分野を中心に、韓国人・留学生含めて7,000名程度の学生が在籍をしている。本学は2015年6月に国際交流協定を締結以来、交換留学生及び短期の語学・文化研修を中心に毎年双方の派遣受け入れを通じて着実に交流を深めてきたが、その後、コロナの影響によりすべてのプログラムを保留にせざるを得なかった。
今回、同大学の国際協力センターのスタッフの全面的な協力の基、今後実際の経験を基に留学希望者に情報を伝えることができるように、韓国語クラスや学生寮の体験、及びポストコロナの双方のグローバル人材育成に向けた情報交換、既存のプログラムの見直しや本学への留学の説明を行った。
●国際教育研究所
国際協力センターは国際教育研究所の傘下にあり、現在は3人のスタッフで運営されている。1人は非中国語圏の学生向けに英語ができる韓国人スタッフ、残りの2人は中国語圏の学生向けに中国語ができる韓国人スタッフが配置されている。このセンターの主な役割として、海外協定校との連携、海外への派遣留学生の募集、正規・非正規問わず留学生募集やアドミッション、来韓後の留学生の行政手続き、生活面のサポート等、幅広い業務を行っている。尚、現在日本人学生がいないこともあり、日本語ができるスタッフはいない。
また、国際教育研究所にはもう1つ国際教育センターという組織があり、4名のスタッフ(英語ができる韓国人2名、韓国語ができる中国人1名、韓国語ができるベトナム人1名)が配置されている。こちらは全ての留学生の韓国語教育をメインで行っており、それと併せてグローバル人材育成の一環として正課とは別の追加の英語教育プログラムも行っている。このプログラムは年間3つの期間で開催され、希望者は各自有料で参加することができる(各学期教科書込みで79万ウォン)。
●日本との交流や日本語の学習について
キャンパスが地方にあり、日本での知名度が低いこともあり、現在、本学が唯一の日本の協定校となっている。尚、日本人留学生は在籍していない。また、日本語の専門はなく、一般教養科目の中に第二外国語として2~3クラスが開講されているだけである。
韓国政府からも大学には「国籍の多様性」を求められおり、大学全体の評価にも繋がることから、今後は本学との交流を深めて、日本人学生の受け入れを拡大していきたいとのことである。
●外国人留学生
現在、171名の正規留学生が在籍する。国籍の内訳は下記の通りである。
<学部生>中国122人、ベトナム24人、エジプト1人、コンゴ1人
<院 生>中国21、ベトナム1人、バングラディッシュ1人
●外国人留学生募集
大学ホームページを通じた学生から直接のオンライン申請と、中国にいる数社のエージェント経由での申し込みと大きく2つのルートで受け入れを行っている。また、グローカルキャンパスのアートデザイン学部は国内外で人気が高く、中国教育部(文科省に相当)の承認の基、中国にある現地の高校に特別なコースを設置し、その高校を卒業したら当該学部に受け入れるというプログラムも実施している。ただし、中国からの留学生の多くはエージェンシー経由であり、その場合コミッション(一人につき学費の1/5相当)を支払う必要があるため、できるだけ学生からの直接の申し込みを増やすために、中国語が堪能な国際研究所のイ・ドンマン所長が中国国内の協定校等に出向き、現地での学生募集を行っている。
尚、数年前まではベトナムを今後の留学生募集のメインマーケットとしてとらえていたが、韓国全体として、ベトナム人留学生は入国後に不法就労したり失踪したりするケースが多発したこともあり、ここ数年は経済的により安定した中国人留学生向けの募集に再びシフトしている。
●外国人留学生のアルバイト管理
ベトナム人留学生を中心に、全体の約30%の学生がアルバイトをしている。留学生がアルバイトを希望する場合は、政府様式の申込書と事業所からの契約書を提出させて、問題が無いかの確認を行い、大学として許可証を発行後、アルバイトに従事させている。
韓国では、外国人留学生の平日最大25時間、週末は時間無制限のアルバイトが認められており、大学としては学期途中に状況面談により状況を確認している。また、授業に3回連続で出席しない学生がいる場合、韓国当局に失踪報告を行っている。外国人を受け入れている韓国の大学は2年毎に国からの評価が行われ、不法就労や失踪が多い場合は、大学全体の評価がマイナスとなるため、大学としても厳しい管理を行うようにしている。
●海外派遣学生
3月6日に2023年度後期に海外派遣を希望する学生たち向けの学内説明会が開催されて、約50名程度の学生達が集まった。この日はコロナ後初の開催となったが、以前は数百人が説明会に参加をしていた。今回は7カ国20校への募集を行い(定員約90名)、本学の交換留学もその一つして紹介され、私もスペシャルゲストということで、ステージの前で佐賀や本学のPRを英語で行い、多くの学生達の関心を集めることができた(このイベントの様子は建国大学のホームページでも記事が掲載されている)。また、この日のオリエンテーションでの本学の紹介をきっかけに、1人の建国大学生が本学の交換留学に興味をもってくれたので、国際協力センターのスタッフと共に、オンラインで学生の面接も行った。アートデザイン専攻の学生であったが、大好きな日本のアニメやドラマ等を見ながら独学で学んだだけにも関わらず、日常会話は問題くらいの日本語能力を保持していたことに驚かされた。今後、正式なプロセスを得て、令和5年度後期からの交換留学生として、選出される予定とのことである。
<参考>建国大学HP
建国大学としては短期長期含めて、年間500名の学生を海外に派遣することを目標にしており、大学との正規プログラムへの派遣学生には全員奨学金を大学の予算から支給をしている(長期の場合は、学期毎に一人400万ウォン、短期は地域や期間によっても異なるが、アジアでのプログラムの場合は一人100万ウォン)。長期の場合は学生から一度支払われた学費の平均金額のほぼ全額を奨学金として充当しており、また政府からの補助金はなく、全て大学の予算から支出していることから財政的に厳しくはあるが、大学として積極的に学生の海外派遣をサポートしているということが、高校生や留学生にとっての建国大学へ魅力度向上に繋がっているため、今後も学生の海外派遣を推奨していきたいとのことである。